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収益物件の相続で後悔しない!税金対策と利回りUPの方法
名古屋市で収益物件を相続する不動産オーナーの皆様へ
収益物件を相続する際、適切な税金対策を講じることで相続税負担を大幅に軽減し、物件の利回りを最大化することが可能です。特に名古屋市内では、エリアによって異なる不動産価値や需要傾向を把握した上での対策が重要です。
名古屋市を中心に事業用物件・収益不動産に特化したサポートを提供するWIN SQUAREでは、多くの地元不動産オーナー様の相続に関する悩みを解決してきました。この記事では、収益物件の相続における税金の基礎知識から名古屋市の物件特性を考慮した具体的な節税対策まで、専門的な視点からわかりやすく解説します。
目次
1. はじめに:収益物件の相続と税金対策の重要性
2. 収益物件の相続で発生する主な税金
3. 相続税評価額を下げるための対策
4. 収益物件の管理・運営における税金対策
5. 相続後の収益物件の売却と税金
6. 相続税対策と利回り最大化の事例紹介
7. まとめ:収益物件の相続を成功させるために
はじめに:収益物件の相続と税金対策の重要性
収益物件の相続、知っておくべき税金の基礎知識
収益物件の相続では、一般的な不動産相続とは異なる税金の仕組みが適用されます。アパートやマンションなどの収益物件は、土地と建物の評価方法が特殊で、賃貸中であれば評価額が下がる「貸家建付地」「貸家」としての評価が適用されます。
これによって、単なる土地や建物よりも相続税評価額が低くなるため、適切に対策を行えば大きな節税効果が期待できます。しかし、相続税だけでなく、不動産取得税や登録免許税、さらには相続後の所得税・住民税なども考慮した総合的な税金対策が必要です。
相続税対策が利回り最大化に繋がる理由
収益物件の本質的な魅力は、安定した家賃収入から得られる利回りにあります。しかし、相続時に多額の相続税が発生すると、その支払いのために物件を売却せざるを得なくなったり、自己資金を投入したりする必要が生じます。
これでは本来得られるはずだった収益が減少し、長期的な利回りが低下してしまいます。逆に、適切な相続税対策を行えば、納税額を抑えつつ物件を継続して保有できるため、長期にわたって安定した収益を確保できます。つまり、相続税対策は単なる「節税」ではなく、収益物件の「資産価値の最大化」につながる重要な戦略なのです。
この記事で得られること:税金対策の全体像
この記事では、名古屋市を中心に不動産オーナーや投資家の方々が直面する収益物件の相続における税金問題について、実務経験に基づいた具体的な対策をご紹介します。相続税の評価額の仕組みから、申告時の特例活用法、さらには相続後の運営・売却における税金対策まで、総合的な視点から解説します。
特に下記の内容について詳しく解説していきます。
- 名古屋市の収益物件における相続税評価額の実態
- 実践的な相続税対策のステップバイステップガイド
- 地域特性を踏まえた収益物件選びのポイント
- 相続後の税金対策と利回り向上のノウハウ
- 相続税を最大1/2以下に圧縮した成功事例
WIN SQUAREの実績に基づく事例も交えながら、あなたの状況に合った最適な税金対策のヒントを得ることができるでしょう。
収益物件の相続で発生する主な税金
相続税:評価額の算出と節税のポイント
収益物件を相続する際、最も大きな負担となるのが相続税です。相続税は財産の評価額に基づいて計算されますが、収益物件の場合、その評価方法が特徴的です。
収益物件の土地は「貸家建付地」として評価され、更地の評価額から一定の割合で減額されます。この計算式は以下の通りです。
貸家建付地の評価額 = 自用地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
例えば、自用地評価額5,000万円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%の物件であれば、貸家建付地の評価額は約4,100万円となり、約900万円の評価減となります。
また建物も「貸家」として評価され、通常の建物評価額から一定割合で減額されます。
貸家の評価額 = 通常の建物評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)
建物評価額3,000万円、借家権割合30%、賃貸割合100%の場合、貸家の評価額は約2,100万円となり、約900万円の評価減となります。
このように、収益物件は現金や他の資産と比較して相続税評価額が低くなる傾向があるため、相続対策として収益物件を保有することは理にかなった選択と言えます。
不動産取得税:軽減措置と計算方法
相続で不動産を取得した場合、不動産取得税は非課税となります。ただし、相続後に不動産を購入する場合には、不動産取得税が課税されます。
不動産取得税は固定資産税評価額の4%が基本税率ですが、住宅用の土地については2%に軽減されています。また、一定の要件を満たす住宅を取得した場合は、最大で1,200万円の控除が適用されます。
収益物件の場合、住宅用部分と事業用部分が混在することがありますが、適切に区分することで一部に住宅用の軽減措置を適用できる可能性があります。
登録免許税:手続きと費用を抑えるコツ
相続による不動産の名義変更には登録免許税がかかります。通常の売買による所有権移転登記(税率2.0%)と比べて、相続による所有権移転登記は税率0.4%と低くなっています。
登録免許税は固定資産税評価額をベースに計算されるため、評価額の低い物件ほど税額も少なくなります。また、相続登記を放置せず速やかに行うことで、将来的なトラブルを防止できます。
2024年からは相続登記が義務化されており、正当な理由なく3年以内に登記申請をしなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。
所得税・住民税:賃料収入と経費の関係
相続後に収益物件を引き続き運営する場合、賃料収入に対して所得税・住民税が課税されます。これは「不動産所得」として計算され、収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。
必要経費として認められる主なものには、管理費、修繕費、固定資産税、損害保険料、減価償却費などがあります。特に減価償却費は実際の現金支出を伴わない費用であるため、キャッシュフローを改善する効果があります。
また、相続後に収益物件のリフォームや設備更新を行う場合、その費用が資本的支出(減価償却の対象)か修繕費(全額経費計上可能)かの区分も重要なポイントになります。
収益物件の相続に関する税金対策のポイント
1. 収益物件は「貸家建付地」「貸家」としての評価が適用され、現金などと比べて相続税評価額が低くなるため相続税対策として有効
2. 相続による不動産取得は不動産取得税が非課税、登録免許税も通常より低率
3. 相続登記は義務化されているため、速やかに手続きを行う
4. 所得税・住民税の計算において、適切な経費計上や減価償却の活用が重要
相続税評価額を下げるための対策
小規模宅地等の特例の活用:適用条件と注意点
小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たす宅地について、相続税評価額を大幅に減額できる制度です。収益物件の場合、「貸付事業用宅地等」として最大200㎡まで50%の減額が受けられます。
この特例を適用するには、被相続人が貸付事業を営んでいたこと、相続人が引き続き貸付事業を営むことなどの条件があります。また、相続開始前3年以内に取得した宅地は原則として対象外となるため、事前の準備が重要です。
なお、相続開始前3年以内に新たに建物を建築して賃貸を開始した場合でも、その土地が被相続人の所有期間が3年以上であれば、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
広大地評価の適用:対象となる不動産とは
広大地評価は2017年の税制改正で廃止され、現在は「地積規模の大きな宅地の評価」に変更されています。この評価方法は、一定規模以上の土地について、形状や利用上の制約を考慮して評価額を減額する仕組みです。
具体的には、三大都市圏では500㎡以上、その他の地域では1,000㎡以上の宅地が対象となり、面積に応じた補正率が適用されます。名古屋市は三大都市圏に含まれるため、500㎡以上の土地がこの評価の対象となります。
賃貸物件の活用:貸家建付地と貸家評価
前述したように、賃貸中の不動産は「貸家建付地」と「貸家」として評価され、通常の土地・建物よりも評価額が低くなります。この評価減には賃貸割合が影響するため、できるだけ空室を減らし高い賃貸割合を維持することが重要です。
ただし、あまりに相続直前に賃貸を開始すると、税務署から相続税対策と見なされる可能性があるため注意が必要です。長期的な経営計画として賃貸事業を位置づけることが望ましいでしょう。
不動産鑑定士による評価:適正な評価額を知る
相続税評価額は路線価などに基づいて算出されますが、実際の市場価値と乖離していることがあります。特に収益物件の場合、築年数や収益性など様々な要素が価値に影響します。
不動産鑑定士による鑑定評価を取得することで、より実態に即した評価額を把握できる場合があります。特に、市場価値が路線価に基づく評価額を下回る可能性がある物件では、鑑定評価を活用することで相続税評価額を適正化できる可能性があります。
生前対策:贈与、暦年贈与、相続時精算課税制度
将来の相続税負担を軽減するためには、生前からの計画的な贈与も効果的です。暦年贈与を活用して、毎年110万円までの基礎控除内で財産を移転させる方法があります。
また、相続時精算課税制度を利用すれば、60歳以上の親から18歳以上の子に対して、2,500万円までの特別控除を利用した贈与が可能です。これらの制度を組み合わせることで、将来の相続税負担を大幅に軽減できます。
収益物件の場合、共有持分を徐々に贈与していくという方法も考えられますが、共有者間のトラブルを避けるために明確な取り決めを行うことが重要です。
相続税評価額を下げるための対策のポイント
1. 小規模宅地等の特例は最大50%の評価減が可能だが、条件を満たすための事前準備が必要
2. 賃貸物件は貸家建付地・貸家評価が適用され、安定した入居率を維持することが重要
3. 不動産鑑定評価を活用して、実態に即した適正な評価額を把握する
4. 生前贈与や相続時精算課税制度を計画的に活用して、将来の相続税負担を分散させる
収益物件の管理・運営における税金対策
法人化のメリット・デメリット:個人所有との比較
収益物件の所有形態として、個人所有と法人所有があります。法人化のメリットとしては、法人税率が所得税率よりも低い場合があること、経費計上の範囲が広がること、節税しながら資産形成がしやすいことなどが挙げられます。
特に収入が多く、高い所得税率が適用される場合は、法人化によって税負担が軽減される可能性があります。また、事業承継の観点からも、法人化は株式の贈与や承継がしやすいというメリットがあります。
一方、デメリットとしては、設立・維持コストがかかること、二重課税の可能性があること、赤字の場合は個人所得と損益通算できないことなどがあります。
名古屋市内の収益物件を複数所有しているオーナーの場合、年間の不動産所得が1,000万円を超えるようであれば、法人化を検討する価値があるでしょう。
減価償却の活用:節税効果を高める方法
収益物件の大きな節税メリットとして、減価償却費の活用があります。減価償却費は実際の現金支出を伴わない費用ですが、税法上は経費として認められるため、課税所得を減らす効果があります。
建物の減価償却期間は構造によって異なり、木造で22年、鉄骨造で34年、鉄筋コンクリート造で47年となります。減価償却方法には定額法と定率法がありますが、2016年4月以降に取得した建物及び建物附属設備は定額法のみが認められています。
収益物件を相続した場合、被相続人の取得時から引き継いだ期間で減価償却を行います。ただし、相続時に建物の評価額が著しく下がっている場合は、相続時の時価を基に減価償却することも検討できます。
修繕費・管理費の経費計上:節税に繋がるポイント
収益物件の維持管理にかかる費用は、適切に経費計上することで課税所得を減らせます。修繕費は原則としてその年の経費になりますが、資本的支出(価値を高める支出)は減価償却資産として扱われます。
例えば、壁紙の張替えや設備の修理は修繕費として全額経費計上できますが、設備のグレードアップや増築は資本的支出として減価償却の対象となります。
また、管理委託費や損害保険料、固定資産税なども経費として計上できます。特に相続直後は、物件の状態を総点検し必要な修繕を行うことで、経費を増やしつつ物件の価値維持・向上を図ることができます。
青色申告の活用:特別控除と節税効果
収益物件の所得は不動産所得として確定申告が必要ですが、青色申告を利用することで様々なメリットが得られます。最大のメリットは青色申告特別控除(最高65万円)が受けられること、赤字の繰越控除(最長3年)が可能になることです。
青色申告を行うには事前の届出と複式簿記による記帳が必要ですが、会計ソフトを活用すれば比較的容易に対応できます。特に相続直後は修繕費などの支出が多くなりがちなため、青色申告による特別控除や赤字繰越のメリットを最大限に活用することをお勧めします。
税理士との連携:専門家によるアドバイス
収益物件の相続と運営に関する税金対策は複雑で、法改正も頻繁にあります。そのため、税理士などの専門家と連携して、最適な対策を講じることが重要です。
特に相続直後の初年度は、様々な選択肢と判断が求められます。例えば、相続した建物の評価方法や減価償却の計算方法、修繕費と資本的支出の区分など、専門的な判断が必要な場面が多くあります。
名古屋市内で収益物件の相続・運営を行う場合、地域の不動産事情に詳しい税理士や不動産専門家との連携が効果的です。WIN SQUAREでも、地元に精通した専門家との連携により、オーナー様の税金対策をサポートしています。
収益物件の管理・運営における税金対策のポイント
1. 収入規模や将来の事業承継計画に応じて、個人所有か法人所有かを検討する
2. 減価償却費は実質的なキャッシュフローを改善する重要な要素であり、正確な計算と申告が必要
3. 修繕費と資本的支出の区分を適切に行い、可能な限り経費計上を最大化する
4. 青色申告の特別控除や赤字繰越のメリットを活用するために、適切な記帳と申告を行う
5. 地域の不動産事情に詳しい専門家と連携して、最適な税金対策を実施する
相続後の収益物件の売却と税金
譲渡所得税の計算と節税方法
相続した収益物件を売却する場合、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。譲渡所得は「売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)」で計算され、保有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得(税率約20%)、5年以下の場合は短期譲渡所得(税率約39%)として課税されます。
収益物件の相続においては、被相続人の取得時の価格(取得費)が不明なケースも多いですが、その場合は売却価格の5%を取得費とみなす「取得費の特例」を適用できます。ただし、この方法では取得費が実際よりも低く計算される可能性があります。
そのため、可能な限り被相続人の取得時の資料(売買契約書、領収書など)を探し、実際の取得費を使用することをお勧めします。また、相続後に行った改修費用なども取得費に加算できます。
相続税の取得費加算の特例:適用条件とメリット
相続した不動産を売却する際、「相続税の取得費加算の特例」を活用することで譲渡所得税を軽減できる場合があります。この特例は、相続により取得した不動産について、相続税のうちその不動産に対応する部分の金額を取得費に加算できるというものです。
適用条件は、相続の開始があった日の翌日から3年10か月以内にその不動産を売却することです。相続税の納税額が大きい場合は、この特例を活用することで譲渡所得税の大幅な軽減が期待できます。
ただし、小規模宅地等の特例などで相続税評価額を減額している場合は、その減額分は取得費加算の対象外となるため注意が必要です。
売却のタイミング:税金と利回りを考慮する
収益物件の売却タイミングを検討する際は、税金だけでなく市場動向や物件の収益性も考慮する必要があります。
長期的に安定した利回りが期待できる物件であれば、相続後も保有し続けることで資産価値の増加や継続的な収益が見込めます。一方、建物の老朽化が進み将来的な大規模修繕が必要な物件や、立地条件の変化などで収益性の低下が予想される物件は、早めの売却を検討した方がよいでしょう。
税金面では、相続開始から3年10か月以内であれば「相続税の取得費加算の特例」を活用できるメリットがありますが、その後であっても保有期間5年超の長期譲渡所得として税率が抑えられるため、物件の状況に応じた判断が必要です。
また、名古屋市の不動産市場の動向も重要な判断材料となります。WIN SQUAREでは、名古屋市内の収益物件市場に精通したスタッフが、最適な売却タイミングについてアドバイスを提供しています。
不動産業者との連携:適切な売却戦略
収益物件を売却する際は、専門的な知識と経験を持つ不動産業者との連携が重要です。特に収益物件は一般住宅と異なり、賃料収入や利回り、入居状況など専門的な観点からの評価が必要となります。
良質な物件管理と適切な資料提示により、物件の価値を最大化することが可能です。例えば、収支状況や修繕履歴、入居者情報などを整理し、物件の魅力を正確に伝えることで、適正価格での売却が期待できます。
WIN SQUAREでは、名古屋市を中心に収益物件に特化した売却サポートを行っており、税金面を考慮した売却戦略の立案から、適切な買い手の選定まで、一貫したサービスを提供しています。
相続後の収益物件の売却と税金のポイント
1. 譲渡所得税の計算において、正確な取得費を把握することが重要
2. 相続開始から3年10か月以内の売却であれば、相続税の取得費加算の特例が適用可能
3. 売却のタイミングは税金面だけでなく、物件の状態や市場動向も考慮して判断する
4. 収益物件に精通した不動産業者と連携し、物件価値を最大化する売却戦略を立てる
相続税対策と利回り最大化の事例紹介
成功事例:具体的な節税対策と効果
【事例1】小規模宅地等の特例と賃貸経営の組み合わせによる相続税削減
名古屋市千種区で複数のアパートを所有していたAさん(被相続人)が亡くなり、子のBさんが相続することになりました。Aさんは生前から賃貸経営を行っており、Bさんも引き続き経営を行う意向でした。
相続財産の内訳:
- 千種区の賃貸アパート2棟(土地・建物合計時価2億5000万円)
- 現金・預金:7,000万円
- その他資産:3,000万円
このケースでは、小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を活用し、200㎡までの土地について50%の評価減を適用。また、賃貸中の建物についても貸家評価が適用されました。さらに、相続税申告時に不動産鑑定評価を取得し、路線価による評価より適正な評価額を算出しました。
これらの対策の結果、当初試算していた相続税額8,500万円から約4,500万円に軽減され、4,000万円の節税効果が得られました。また、相続後も年間900万円の安定した家賃収入が続いており、10%程度の利回りを確保できています。相続税支払い後も物件売却を余儀なくされることなく、継続的なキャッシュフローを維持できている好例です。
【事例2】法人化と生前贈与を活用した相続対策
名古屋市中区で商業ビルを含む収益物件を複数所有していたCさんは、将来の相続に備えて10年前に不動産管理会社を設立。収益物件を法人に移し、株式を子のDさんに毎年少しずつ贈与していました。
相続前の財産状況:
- 商業ビル2棟(時価合計5億円)
- 賃貸マンション3棟(時価合計3億円)
- 現金・有価証券:2億円
法人化と生前贈与による効果:
- 法人に移した不動産の評価額:約7億円
- 10年間の株式贈与総額:約4億円分(毎年の基礎控除内で実施)
- 相続発生時の個人財産:約3億円
相続発生時には、Cさん個人の財産は大幅に減少しており、不動産管理会社の株式も半分以上がDさんに移っていたため、当初予想されていた相続税額1億6,000万円が約5,800万円まで軽減されました。また、法人化により所得税率よりも低い法人税率が適用され、毎年の税負担も約300万円抑えられていました。
相続後も法人経営を継続することで、年間約3,000万円の安定した収益と効率的な税務処理が実現。相続対策と収益物件の利回り最大化の両立に成功した事例です。
失敗事例:税金対策の落とし穴
【事例1】相続直前の対策による否認
名古屋市内の実家に住んでいたEさんは、相続税対策のために相続の3か月前に自宅を賃貸用物件に改装し、親族に賃貸しました。Eさん死亡後、相続人のFさんは「貸家建付地」「貸家」評価の適用を受けようとしましたが、税務調査の結果、「明らかな相続税対策」と判断され、通常の評価額で相続税が課されました。
事前の計画性が不足し、不自然な賃貸形態が税務署の目に留まったことが原因でした。相続税対策は長期的な視点で、自然な形で行うことが重要であることを示す事例です。
【事例2】物件選定ミスによる収益性悪化
相続税対策として収益物件を購入したGさんは、税務面だけを重視して地方の高利回り物件を選択。確かに相続税評価額は低く抑えられましたが、入居率の低下や建物の老朽化により、実際の収益は購入時の想定を大きく下回りました。
相続後、相続人のHさんは多額の修繕費を投じる必要に迫られ、結果的に物件の売却を選択。しかし、市場価値も低下しており、売却損が発生してしまいました。
税金対策だけでなく、物件の質や将来性も含めた総合的な判断が重要であることを示す事例です。
ケース別:相続財産の状況に応じた対策
【ケース1】現金・有価証券中心の相続財産
相続財産が現金や有価証券中心の場合、収益物件への組み替えを検討することが有効です。特に時価と相続税評価額の乖離が大きく、安定した利回りが見込める物件を選定することがポイントです。
名古屋市内では、駅近の中古マンションやアパートなどが、比較的安定した入居率と相続税評価額の低減効果を両立できる選択肢となります。ただし、購入から相続発生までの期間が短すぎると税務署から否認される可能性があるため、少なくとも3年以上前から計画的に行うことが望ましいでしょう。
【ケース2】自宅不動産中心の相続財産
自宅の土地・建物が相続財産の中心を占める場合、「小規模宅地等の特例(居住用)」の活用が最優先となります。居住用宅地は最大330㎡まで80%の評価減が受けられるため、大きな節税効果が期待できます。
ただし、この特例の適用には条件があるため、家族構成や居住状況に応じた事前の準備が必要です。また、自宅以外の収益物件も所有している場合は、「小規模宅地等の特例(貸付事業用)」との併用にも注意が必要です。
【ケース3】収益物件中心の相続財産
すでに収益物件が相続財産の中心となっている場合は、物件の収益性向上と適切な管理体制の構築が重要です。具体的には、計画的な修繕による物件価値の維持・向上、適正な家賃設定による入居率の安定化、効率的な管理体制の構築などが挙げられます。
また、収益物件の法人化や共有持分の生前贈与なども検討材料となります。特に複数の相続人がいる場合は、物件の共有によるトラブルを避けるため、事前に明確な取り決めを行うことも大切です。
相続税対策と利回り最大化の事例紹介のポイント
1. 成功事例に共通するのは、長期的な視点での計画的な対策実施
2. 失敗事例からは、短期的な税金対策のみに注力することのリスクを学ぶ
3. 相続財産の状況に応じた適切な対策選択が重要
4. 収益物件の質と将来性を見極めることが、長期的な利回り確保の鍵
まとめ:名古屋市の収益物件相続を成功させるためのチェックリスト
収益物件相続の税金対策ステップ
名古屋市で収益物件を相続する際の税金対策は、計画的に進めることが重要です。以下のチェックリストを参考に、段階的な対策を講じましょう。
✅ STEP1: 相続財産の現状把握と評価
□ 収益物件(土地・建物)の時価と相続税評価額の確認
□ 現金・預金・有価証券などの流動資産の把握
□ 借入金などの債務の確認
□ 名古屋市内の路線価や地価動向の調査
✅ STEP2: 適用可能な特例の検討
□ 小規模宅地等の特例(貸付事業用)の適用条件確認
□ 貸家建付地・貸家評価の適用可能性チェック
□ 配偶者の税額軽減特例の検討
□ その他の減額特例の適用可否
✅ STEP3: 納税資金計画の立案
□ 概算相続税額の試算
□ 納税資金の確保方法の検討
□ 分割納税の可能性検討
□ 物件売却が必要な場合の優先順位決定
✅ STEP4: 長期的な節税・運営戦略の策定
□ 法人化の検討(年間所得1,000万円超の場合に特に有効)
□ 生前贈与計画の策定
□ 物件リノベーションや設備更新の計画
□ 管理委託先や管理体制の見直し
✅ STEP5: 相続後の運営・売却計画
□ 物件ごとの保有・売却判断
□ 相続税の取得費加算特例の活用検討
□ 修繕・リフォーム計画の策定
□ 賃料見直しや空室対策の実施
専門家との連携で効果的な対策を
収益物件の相続税対策は、不動産と税務の両方の専門知識が必要となる複雑な分野です。特に名古屋市内の各エリアの不動産特性を熟知した専門家との連携が、効果的な対策の鍵となります。
WIN SQUAREでは、名古屋市を中心に事業用物件・収益不動産に特化した相続対策のサポートを行っており、税理士などの専門家とも連携して総合的なアドバイスを提供しています。初期相談は無料で行っていますので、早い段階からの準備をお考えの方はぜひご相談ください。
名古屋市の収益物件市場を踏まえた長期運営戦略
名古屋市の収益物件市場は、エリアによって特性が大きく異なります。例えば栄・伏見エリアのオフィスビル、金山・鶴舞エリアの学生向けマンション、東区・北区の戸建賃貸など、それぞれに適した運営戦略が求められます。
相続税対策として収益物件を保有・運営する場合も、各エリアの特性を踏まえた長期的な視点が重要です。具体的には、
- リニア開通を見据えた名駅エリアの不動産価値上昇
- 大学が集中する千種区・昭和区の安定した賃貸需要
- 工業地域が多い港区・南区の事業用地としての需要
これらの地域特性を考慮した上で、物件選定や運営方針を決定することで、相続後も安定した収益確保が可能となります。
収益物件の相続は、適切な税金対策と名古屋市の不動産市場を踏まえた長期的な視点での物件選定・管理により、資産価値の維持・向上と安定した収益確保の両立が可能です。WIN SQUAREは名古屋市で培った経験と知識を活かし、皆様の収益物件の相続を成功に導くためのサポートを提供しています。