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名古屋の事業用物件でテナント退去?収益物件の不動産相続リスクに備えるポイント

名古屋の事業用物件でテナント退去?収益物件の不動産相続リスクに備えるポイント

安定した収益を生んでいた事業用物件から、突然テナントが退去してしまった。次の入居者が決まるまでの資金繰りに加え、将来の相続まで考えると不安は尽きません。

結論からお伝えすると、テナント退去は家賃収入の減少だけでなく、相続が発生した時点の状況によっては不動産の相続税評価額が高くなる可能性がある問題です。賃貸中に認められていた評価減が受けられなくなれば、土地・建物の相続税評価額に数千万円単位の差が生じるケースもあります。名古屋市で事業用物件・収益不動産を扱うWIN SQUAREでも、テナント退去後の売却や資産活用についてのご相談を受け付けています。

本記事では、リスクの仕組みとすぐ取るべき対策、資産を組み替える選択肢までを整理しました。

目次

1. 空室状態での相続が引き起こす3つの重大リスク
貸家建付地の特例が外れ相続税評価額が急増する
家賃収入が途絶え、残された家族の納税資金が不足する
高額な固定資産税や維持管理コストだけが遺族にのしかかる
2. 名古屋の事業用物件市場の現状と空室が長引く背景
オフィス・店舗需要の変化とエリアごとの明確な二極化
設備が古い物件や駐車場がない物件はテナント誘致に苦戦しやすい
3. テナント退去時にすぐ取り組むべき収益改善・相続対策
募集条件を柔軟に見直し、スピード重視で次のテナントを確保する
現在の賃貸需要に合わせたリノベーションや用途変更を検討する
サブリースを含め、安定した賃貸運用が可能か検討する
4. 空室リスクを根本から解決する抜本的な選択肢
収益性と流動性の高い別のエリア・用途の物件へ買い替える
遺族の納税資金確保を最優先とし、好条件のうちに物件を売却する
家族信託を活用し、オーナーの健康不安リスクと物件管理を切り離す
5. テナントの退去は物件運用と相続計画を見直す絶好のタイミング
傷口が広がる前に不動産と相続に強い専門家へ相談しよう

 

1. 空室状態での相続が引き起こす3つの重大リスク

空室のまま相続が発生すると、評価額・資金繰り・維持コストの3方向から負担が重なります。賃貸中なら受けられた評価減が使えなくなるうえ、収入だけが止まるためです。

貸家建付地の特例が外れ相続税評価額が急増する

最も影響が大きいのが貸家建付地の評価減です。第三者に貸している土地は借主の権利分だけ自由に処分できず、その分だけ評価額が下がります。

区分 計算式 相続開始時に貸し付けていない場合
土地 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合30% × 賃貸割合) 減額なしの自用地評価
建物 固定資産税評価額 ×(1 − 30% × 賃貸割合) 減額なしの満額評価

自用地評価額1億円・借地権割合60%の土地なら、賃貸中の評価は8,200万円。貸し付けていなければ1億円のまま評価され、土地だけで1,800万円の評価差が生まれます。固定資産税評価額6,000万円の建物にも同様の差が出るため、合計3,600万円の評価増。ただしこれは評価額の差であり、実際の税額は基礎控除や法定相続人の数、ほかの財産や債務、各種特例によって変わります。

なお、アパートなど複数の独立した区画がある物件では、一部の部屋が一時的に空室になっている場合、一定の条件を満たせば賃貸中として扱われることがあります。一方、1棟貸しの建物で借主が退去し、相続開始時点で建物全体が空いている場合は、原則として貸家・貸家建付地としての評価減を受けられません。

出典:「貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価|国税庁」

家賃収入が途絶え、残された家族の納税資金が不足する

相続税が発生する場合、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に金銭で納付します。評価額が上がって税額が増えたのに、原資となる家賃は入らないという組み合わせが起こり得ます。

  • 急いで売却せざるを得ず、相場より安く手放す
  • 延納・物納を検討しても要件があり、手続きに時間を取られる
  • 相続人が自己資金や借入で立て替える

出典:「No.4205 相続税の申告と納税|国税庁」

高額な固定資産税や維持管理コストだけが遺族にのしかかる

空室でも固定資産税や、所在地によっては都市計画税がかかるほか、火災保険料、清掃・点検費用などの維持コストが発生します。名古屋市の都市計画税は市街化区域内の土地・家屋が対象で、市街化調整区域では課税されません。いずれにせよ収益物件が「毎月お金が出ていくだけの資産」に変わる点は同じで、運営に関わってこなかったご家族が引き継ぐ場合、負担は精神的にも重くなります。

出典:「都市計画税|名古屋市」

 

2. 名古屋の事業用物件市場の現状と空室が長引く背景

名古屋のマーケットは堅調ながら、物件ごとの明暗がはっきり分かれる局面にあります。市場平均が良好でも、自分の物件がその平均に入るとは限りません。

オフィス・店舗需要の変化とエリアごとの明確な二極化

事業用物件のうち、名古屋のオフィス市場を見てみます。三鬼商事の調査では、主要4地区の平均空室率は3.59%、平均賃料は坪あたり13,343円(2026年7月時点)。同じ時点の地区別では名駅地区2.60%に対し、伏見地区4.47%、丸の内地区4.81%と開きがありました。条件に合う物件へ需要が集中する構図が定着し、駅からの距離が同じでも選ばれる物件と検討すらされない物件の差は広がる一方です。店舗や倉庫はこの統計の対象外ですが、テナントの選ぶ目が厳しくなっている点は共通します。

出典:「名古屋の賃貸オフィスの賃料相場・空室率|三鬼商事株式会社」

設備が古い物件や駐車場がない物件はテナント誘致に苦戦しやすい

空室が長期化しやすい物件には、共通する要因があります。

  • 新耐震基準を満たしていない、耐震診断が未実施
  • 電気容量や空調が現在の業務水準に足りない
  • 来客用・従業員用の駐車場を確保できない
  • 内装やトイレが古く、内見時の印象で敬遠される

車社会の愛知県では駐車場の有無が決め手になる場面も多く、賃料を下げるだけでは埋まりません。

 

3. テナント退去時にすぐ取り組むべき収益改善・相続対策

退去が決まったら、空室期間を短くするため早めに募集条件や運用方針を見直すことが先決です。長期空室は家賃収入の減少につながるほか、相続が発生するタイミングによっては相続税評価にも影響します。

募集条件を柔軟に見直し、スピード重視で次のテナントを確保する

賃料維持にこだわって半年空けるより、多少譲歩して早期に埋めたほうが手取りは残ります。フリーレント、原状回復範囲の調整、業種制限の緩和など、条件の幅を広げた募集が現実的な打ち手です。

現在の賃貸需要に合わせたリノベーションや用途変更を検討する

スケルトン渡しへの変更や区画分割による小規模事業者の取り込みは、成約率を高める手段になります。医療・介護系など別用途への転換も選択肢ですが、用途地域や建築基準法、消防法等による制限があり、追加設備が必要になる場合も。建築士や行政窓口への確認と、投資額・想定賃料の回収年数の試算をふまえて判断してください。

出典:「既存建築物の用途変更|名古屋市」

サブリースを含め、安定した賃貸運用が可能か検討する

サブリース会社との間で実態のある賃貸借契約が成立すれば、空室リスクを抑えられる場合があります。ただし賃料水準や契約期間、解約条件の確認は欠かせません。相続税評価も契約内容と実態によって判断が異なるため、導入前に税理士へ相談しておくと安心です。

 

4. 空室リスクを根本から解決する抜本的な選択肢

同じ物件を持ち続ける限り、空室リスクは繰り返し訪れます。資産の中身そのものを入れ替える発想も選択肢に加えたいところです。

選択肢 主なメリット 留意点
買い替え 収益性と流動性を同時に改善 諸経費と税負担の試算が必須
売却 納税資金を現金で確保 売却益が生じる場合は譲渡所得税等の試算が必要
家族信託 判断能力低下後も管理を継続 節税効果そのものはない

 

収益性と流動性の高い別のエリア・用途の物件へ買い替える

空室が続く郊外の1棟物件を売り、駅近の区分オフィスなど需要の厚いエリアへ組み替える方法です。複数に分けて保有すれば、空室リスクの分散と遺産分割のしやすさを同時に得られる利点もあります。

遺族の納税資金確保を最優先とし、好条件のうちに物件を売却する

投資家向けの収益物件では、長期空室で想定収益が下がると売却価格にも影響することがあります。一方、自社利用や建替えを前提とする買主なら、空室のほうがすぐ使えると評価される場合も。いずれにせよ相続後に慌てて売る場合と違い、価格・時期・買主を自分で選べます。個人所有か法人所有かで課税の扱いも変わるため、試算は早めに。

家族信託を活用し、オーナーの健康不安リスクと物件管理を切り離す

認知症などによって契約に必要な判断能力が失われると、本人だけで新たな賃貸借契約や売却を進めることが難しくなります。成年後見制度を利用する方法もありますが、あらかじめ信託契約を設計し、受託者に管理・処分権限を持たせておく手もあります。オーナーご自身は受益者として収益を受け取りつつ、意思決定は受託者が担当。

 

5. テナントの退去は物件運用と相続計画を見直す絶好のタイミング

テナント退去は痛手である一方、資産全体を点検し直す数少ない機会でもあります。稼働中は現状維持で問題なく見えるぶん、見直しは後回しになりがちです。

  • 相続開始時点で貸し付けていなければ、評価減を受けられず評価額が上がる
  • 名古屋市内でも地区や設備によって成約力の差は広がっている
  • 早期客付け・用途変更・買い替え・売却・家族信託を組み合わせて備える

傷口が広がる前に不動産と相続に強い専門家へ相談しよう

適切な判断には、市場価値と相続税評価の両面からの検証が欠かせません。名古屋市で事業用物件・収益不動産に特化するWIN SQUAREでは、査定にとどまらず、保有と売却それぞれの試算をふまえた出口戦略をご提案しています。空室が長引くほど選択肢は狭まります。退去の連絡を受けた段階でご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続税評価や税額、用途変更の可否は個別の事情によって異なります。具体的な判断は税理士・建築士等の専門家にご確認ください。