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空き家のまま?賃貸に出す?売却?相続不動産の3大活用法を徹底比較

空き家のまま?賃貸に出す?売却?相続不動産の3大活用法を徹底比較

空き家のまま?賃貸に出す?売却?相続不動産の3大活用法を徹底比較

相続によって取得した不動産を「負債」にするか「優良資産」に変えるかは、投資家としての最初の判断に委ねられています。特に2024年4月から相続登記が義務化され、適切な管理を怠る空き家は、自治体の指導・勧告によって固定資産税等の住宅用地特例が外れる可能性があるため、単なる「放置」は維持コストだけでなく法的リスクも増大させる時代となりました。

名古屋市で事業用物件・収益不動産の売却や相続サポートを専門に行うWIN SQUAREでは、多くの投資家オーナーから相続不動産の活用についてご相談をいただいています。既に収益物件を運用されている方にとって、相続不動産はポートフォリオを強化する絶好の機会です。しかし、物件の立地やスペックを見極めずに活用法を選択すれば、全体の利回りを損なう恐れもあります。

本記事では、プロの投資家視点で「空き家として保持・賃貸経営・売却」の3大選択肢を、出口戦略まで含めて徹底的に比較していきます。

目次

1. 相続不動産の活用は「収益性」と「流動性」で判断する
2. 選択肢1:空き家として保持する場合のリスクとコスト
2-1. 保有コストの内訳と増大要因
2-2. 資産価値の毀損メカニズム
2-3. 法的義務の遵守ポイント
3. 選択肢2:賃貸経営によるインカムゲイン戦略
3-1. 投資対効果(ROI)のシミュレーション方法
3-2. 節税メリットの具体的な活用法
3-3. 2026年の賃貸ニーズへの適合性
4. 選択肢3:早期売却によるキャピタルゲインと再投資
4-1. 譲渡所得税の特例制度
4-2. ポートフォリオ入れ替えの戦略
4-3. 流動性確保のメリット
5. 投資家が陥りやすい判断ミスを防ぐチェックリスト
5-1. エリアポテンシャルの見極め方
5-2. 建物コンディションの評価基準
5-3. 管理コストの実態把握
6. まとめ:2026年の市場環境を見据えた最適な出口戦略

 

1. 相続不動産の活用は「収益性」と「流動性」で判断する

相続不動産の扱いは、感情的な価値ではなく、純粋に「事業用資産としての適格性」で判断しなければなりません。不動産投資家にとって、資金効率を最大化させることは鉄則です。

立地が悪く収益化が見込めない物件を賃貸に回して管理コストを垂れ流すよりも、早期に現金化して他の高利回り物件へ再投資する方が、長期的な資産形成にはプラスに働きます。一方で、賃貸需要が見込める好立地物件であれば、継続的なインカムゲインを生み出す収益源として活用できるでしょう。

判断の基準となる2つの軸

収益性の評価ポイント

想定賃料と維持コストから実質利回りを算出します。

  • 目安基準:年間の純収益が物件価格の5%以上
  • 初期投資の回収期間:リフォーム費用を含めた投資回収年数
  • 長期的な収益予測:10年後までの賃料相場の変動予測

一般的に、実質利回り5%以上であれば、賃貸経営を検討する価値があります。ただし、エリアや物件タイプによって基準は変動するため、個別の精査が必要です。

流動性の評価ポイント

売却時の換金性を見極める必要があります。

  • 立地条件:駅から徒歩10分以内、主要幹線道路へのアクセス
  • 買い手の多さ:需要の高いエリアかどうか
  • 売却想定期間:市場に出してから売却までの標準的な期間

流動性が低い物件は、いざという時に現金化できないリスクを抱えることになります。投資判断では、収益性だけでなく「出口戦略の実現性」も重要な要素です。

2026年の市場動向を踏まえ、維持(空き家)、運用(賃貸)、換金(売却)のどれが最もポートフォリオの最適化に寄与するかを見極めることが重要です。自身の投資スタイルと物件のスペックを冷静に分析し、最適な選択肢を導き出していきましょう。

✓ポイント: 相続不動産は「もらったもの」として保持するのではなく、既存ポートフォリオ全体の収益性向上に貢献するかという観点から活用法を決定することが成功の鍵となります。

 

2. 選択肢1:空き家として保持する場合のリスクとコスト

結論から言えば、投資家として「放置」という選択肢がもたらすマイナスの影響は極めて大きいと言わざるを得ません。一時的な判断保留として空き家状態を続けることはあっても、長期的な戦略として放置を選ぶメリットはほとんどありません。

2-1. 保有コストの内訳と増大要因

空き家であっても固定資産税と都市計画税は毎年発生します。名古屋市の場合、固定資産税は評価額の1.4%、都市計画税は0.3%が標準税率です。仮に評価額2,000万円の物件であれば、年間34万円の税負担が継続的に発生する計算になります。

さらに深刻なのが、管理不全による税負担増加のリスクです。自治体から「管理不全空家」または「特定空家」として勧告を受けると、これまで適用されていた住宅用地の課税標準の特例(固定資産税・都市計画税)が外れるため、税負担が増える可能性があります。

例として、小規模住宅用地(固定資産税:課税標準1/6、都市計画税:1/3)の特例が外れると、固定資産税は最大で約6倍、都市計画税は最大で約3倍となり得ます(面積区分等により変動)。

定期的な巡回管理を委託する場合、月額1万円~2万円程度のコストも発生します。遠隔地の物件であれば、交通費や時間的コストも無視できません。

【参考】 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省

2-2. 資産価値の毀損メカニズム

建物は人が住まないことで劣化が進みやすくなります。主な劣化要因として、以下が挙げられます。

  • 換気不足によるカビの発生:室内の湿度管理ができず、カビや腐食が進行
  • 雨漏りの発見遅れ:定期点検がないため、小さな雨漏りが大規模な損傷へ
  • シロアリ被害の拡大:早期発見できず、構造部分まで被害が及ぶ可能性

無人期間が長いほど、こうした劣化の発見が遅れ、結果として修繕費が増えやすい傾向があります。放置期間による価格下落は立地・築年・管理状態・市場環境で大きく異なるため、「◯年で◯%下落」と一律に言えるものではありません。

実際の影響を把握するには、(1)劣化箇所の有無、(2)必要修繕額の見積もり、(3)売却・賃貸それぞれの想定条件で個別に試算することが重要です。修繕費の積立を行わない放置は、将来の選択肢を狭める結果となります。

【参考】 国土交通省|住宅:空き家対策 特設サイト|国土交通省

2-3. 法的義務の遵守ポイント

2024年4月から相続登記が義務化され、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。また、遺産分割で取得した場合も、遺産分割成立から3年以内に分割内容に応じた登記が必要です。

所有者責任がこれまで以上に厳格に問われるようになっており、隣地への倒木や外壁崩落などの事故が発生した場合、損害賠償責任を負うリスクも高まっています。

【参考】 相続登記の申請義務化に関するQ&A|法務省

✓ポイント: 空き家として保持する場合は、年間の保有コスト、資産価値の減少率、法的リスクを総合的に計算し、「何もしないことによる損失」が他の選択肢と比較してどの程度大きいかを数値で把握することが不可欠です。

 

3. 選択肢2:賃貸経営によるインカムゲイン戦略

収益物件として稼働させることができれば、相続不動産は継続的なキャッシュフローを生み出す資産に変わります。ただし、賃貸経営を成功させるには、綿密なシミュレーションと市場ニーズへの適合が前提となります。

3-1. 投資対効果(ROI)のシミュレーション方法

賃貸経営を検討する際は、まずリフォーム費用と想定賃料から実質利回りを算出します。

実質利回りの計算式

実質利回り(%) = (年間賃料収入 - 年間経費) ÷ (物件取得価格 + リフォーム費用) × 100

年間経費に含まれる主な項目

  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理委託費(賃料の5~10%程度)
  • 修繕積立金
  • 火災保険料

一般的に、実質利回り5%以上であれば投資価値があると判断されますが、エリアや物件タイプによって基準は異なります。

投資家であれば、自己資金の回収期間を明確にする必要があります。例えば、リフォームに300万円投資し、年間の純収益が60万円であれば、回収期間は5年です。この期間が自身の投資方針と合致するかを検証しましょう。

3-2. 節税メリットの具体的な活用法

賃貸用不動産として供用することで、相続税評価額の軽減が期待できます。賃貸中の不動産は、相続税評価において貸家(借家権割合等)や貸家建付地(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)の考え方により、自用の状態より評価が下がることがあります。ただし下がり幅は、地域の借地権割合・賃貸割合などで変わるため、「一律◯%」とは言えません。

また、所得税計算における減価償却費の計上により、帳簿上の赤字を作り出して他の所得と損益通算することも可能です。木造住宅の場合、法定耐用年数は22年ですが、中古物件の場合は簡便法により短い期間で償却できるケースもあります。

節税効果を正確に把握するには、物件所在地の借地権割合や賃貸状況を考慮した個別試算が必要です。税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

【参考】 No.4614 貸家建付地の評価|国税庁

3-3. 2026年の賃貸ニーズへの適合性

賃貸市場のニーズは時代とともに変化しています。現在の市場で求められる主な要素は以下の通りです。

リモートワーク時代の住環境ニーズ

  • 郊外の広めの物件:在宅勤務に適した仕事スペースの確保
  • 駅近の利便性:名古屋市内では地下鉄沿線の駅近物件が引き続き人気
  • テレワークスペース:独立した作業スペースを備えた間取り

省エネ・環境性能への意識の高まり

  • ZEH水準の断熱性能:光熱費削減への関心が高まる
  • 省エネ設備:LED照明、高効率給湯器などの標準装備

一方で、築古で設備が古いままの物件は、賃料を大幅に下げても入居者が決まらないリスクがあります。ターゲットとする入居者層を明確にし、それに合わせたリフォームやリノベーションを実施することが成功の鍵となります。

✓ポイント: 賃貸経営は単に部屋を貸すだけでなく、入居者ニーズの変化に対応した物件価値の維持・向上が求められる継続的な事業です。投資回収の見込みと、長期的な管理体制を整えられるかを冷静に判断することが重要となります。

 

4. 選択肢3:早期売却によるキャピタルゲインと再投資

出口戦略として売却を選択することは、ポートフォリオの最適化と資金効率の向上に直結します。特に、管理の手間がかかる物件や、収益性が低い物件については、早期売却が最善の選択となるケースが多いでしょう。

4-1. 譲渡所得税の特例制度

相続不動産の売却では、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が利用できる可能性があります。この特例は、相続により取得した被相続人居住用家屋およびその敷地を、一定の要件を満たして譲渡した場合、譲渡所得から最高3,000万円(※)まで控除できる制度です。

適用期限は令和9年(2027年)12月31日までとなっており、時限措置である点に注意が必要です。また、2024年1月1日以後の譲渡で、相続人が3人以上の場合は控除上限が2,000万円になる点にも留意が必要です。

主な要件として、以下が挙げられます。

  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 売却価格が1億円以下であること

また、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として、所得税15%・住民税5%に加え、復興特別所得税(所得税×2.1%)が上乗せされます。5年以下の短期譲渡所得の場合は所得税30%・住民税9%に復興特別所得税が上乗せされます。売却のタイミングも税負担を左右する重要な要素です。

【参考】 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

4-2. ポートフォリオ入れ替えの戦略

管理の手間がかかる地方物件や老朽物件を売却し、より効率的な区分マンションや新築アパートへの買換原資に充てる判断は、プロの投資家として合理的な選択です。

資産組み替えの具体例

名古屋市郊外の築40年戸建て(売却価格1,500万円)を売却し、駅近の区分マンション(利回り6%)に投資することで、以下のメリットが得られます。

  • 年間収益:90万円の安定収益
  • 管理負担:管理会社に一任できるため大幅に軽減
  • 流動性:駅近物件は将来の売却もスムーズ

資産の組み替えにより、ポートフォリオ全体の利回り向上とリスク分散を同時に実現できる点が、売却戦略の大きなメリットです。

4-3. 流動性確保のメリット

現金化することで、他の投資機会への即応性を高めることができます。好条件の収益物件が市場に出た際、即座に購入判断ができる体制を整えておくことは、投資家として大きなアドバンテージとなります。

現金化による主なメリット

  • 新規投資への即応性:好条件物件が出た際に即座に動ける
  • 資金繰りの改善:突発的な出費や事業資金にも対応可能
  • 精神的な余裕:選択肢を持つことで冷静な判断ができる

また、相続人が複数いる場合、不動産のまま分割するよりも、現金化してから分割する方が遺産分割協議もスムーズに進みます。不動産の共有状態は将来的なトラブルの火種となりやすいため、できる限り避けるべきです。

現金は最も流動性の高い資産であり、いつでも自分の判断で次の一手を打てる状態を作り出すことができます。

✓ポイント: 売却は単なる「手放す」行為ではなく、より収益性の高い資産への組み替えや、投資資金の流動性確保という積極的な戦略として位置づけることで、その真価を発揮します。税制優遇の期限も意識しながら、最適なタイミングを見極めることが肝要です。

 

5. 投資家が陥りやすい判断ミスを防ぐチェックリスト

実務的な視点で、活用法を決定するための評価軸を提示します。以下の3つの観点から物件を客観的に評価することで、感情的な判断や思い込みによる失敗を防ぐことができます。

5-1. エリアポテンシャルの見極め方

人口動態や再開発計画を考慮した、10年後の地価予測が重要な判断材料となります。名古屋市では、リニア中央新幹線(品川―名古屋間の工事完了時期は2027年以降とされています)に伴う名駅周辺の再開発、地下鉄延伸計画などが進行しており、こうした情報は不動産価値に直接影響します。

市町村の都市計画マスタープランや立地適正化計画を確認することで、将来的な発展性を予測できます。人口減少エリアであっても、コンパクトシティ政策により特定のエリアに投資が集中するケースもあるため、詳細な調査が不可欠です。

国土交通省の地価公示や都道府県の地価調査データを活用し、過去5年~10年の地価推移を分析することで、そのエリアのトレンドを把握できます。上昇トレンドであれば賃貸・売却どちらも有利ですが、下落トレンドであれば早期売却が賢明な判断となるでしょう。

5-2. 建物コンディションの評価基準

インスペクション(建物状況調査)による構造上の欠陥の有無確認は、活用法を決定する前に必ず実施すべきです。既存住宅状況調査技術者による調査費用は5万円~10万円程度ですが、この投資により数百万円単位の判断ミスを防げます。

特に確認すべき主要ポイント

  • 基礎のひび割れ:構造の安全性に直結する重要項目
  • 屋根・外壁の劣化状況:雨漏りや断熱性能の低下を招く
  • シロアリ被害の有無:構造部分への影響が深刻化する前に発見が必要
  • 給排水設備の老朽化:交換費用が高額になりやすい箇所

これらの問題が発見された場合、修繕費用が数百万円に及ぶこともあり、賃貸経営の収支計算を大きく狂わせる要因となります。

耐震基準も重要な評価項目です。1981年6月以前の旧耐震基準で建築された物件は、耐震補強工事が必要となる可能性が高く、その費用は木造住宅で100万円~300万円程度かかります。この費用負担を考慮すると、売却を選択した方が合理的なケースも多いでしょう。

5-3. 管理コストの実態把握

遠隔地の場合の管理委託費や、オーナーとしての手間を考慮した「実質的な稼働」の可否を見極める必要があります。名古屋市内に在住しながら、遠方の相続物件を賃貸経営することは、想像以上に労力とコストがかかります。

主な管理コストと負担

  • 管理会社への委託費用:賃料の5%~10%が相場
  • 入居者トラブル対応:クレーム処理や契約更新の判断
  • 設備故障時の対応:給湯器・エアコン等の修理・交換判断
  • 定期点検と報告対応:現地確認が必要な場合の交通費・時間

入居者トラブルや設備故障時には、オーナーとして現地対応や判断を求められるケースもあります。こうした時間的コストを金額換算すると、見かけの利回りよりも実質的な収益は大幅に低下することがあります。

また、将来的な大規模修繕の費用も見積もっておく必要があります。築20年を超えると、外壁塗装や屋根の葺き替え、給湯器の交換など、まとまった支出が発生します。これらを含めた長期的な収支シミュレーションを行うことで、真の投資価値が見えてきます。

✓ポイント: 感情や思い入れではなく、エリアデータ、建物状態、管理実務という3つの客観的な評価軸で物件を分析することで、10年後も後悔しない判断を下すことができます。プロの投資家は常にデータと現実を直視しています。

 

6. まとめ:2026年以降の市場環境を見据えた最適な出口戦略

空き家のまま?賃貸に出す?売却?相続不動産の3大活用法を徹底比較

相続不動産は、不動産オーナーにとって「棚ぼた」の資産ではなく、新たな投資判断が求められる「プロジェクト」です。空き家のまま放置することによる損失を避け、賃貸による継続的な収益か、売却による資産の組み替えか、自身のライフプランと投資方針に照らし合わせて迅速に決定を下すべきです。

2026年以降、相続登記の義務化、空き家に対する自治体の指導強化、譲渡所得税の特例制度など、不動産を取り巻く法制度は大きく変化しています。これらの制度を正確に理解し、最大限に活用することが、相続不動産を「負債」から「優良資産」へと転換させる鍵となります。

名古屋市で事業用物件・収益不動産に特化したサポートを行うWIN SQUAREでは、投資家視点での物件評価から、税制優遇の活用、出口戦略の立案まで、トータルでサポートしています。プロの視点で物件を客観的に評価し、最新の税制や市場環境を最大限に活用することで、相続をきっかけとした資産増大を実現させてください。

最後に、判断を先延ばしにすることが最大のリスクです。相続から時間が経過するほど選択肢は狭まり、税制優遇の期限も迫ってきます。今こそ、相続不動産と真剣に向き合い、あなたのポートフォリオを次のステージへと引き上げる決断の時です。